「うちの猫、なんでこんなに頑固なんだろう」
今から6年前、夜中の3時に猫に叩き起こされながら、私は本気でそう思いました。
みいちゃん(当時3歳・キジトラ女の子)が、突然「ウー」と唸りながら私の腕をひっかいてきたんです。理由がわからなくて、怖くて、悲しくて。「こんなはずじゃなかった」と泣いたことを今でも覚えています。
でもその後、猫の本能や進化の歴史を学んで、「あ、この子は私に甘えていたんじゃなくて、狩りの本能が爆発していたんだ」とわかったとき。急に、すべてが愛おしくなりました。
あなたも、シニア猫の「なぜ?」に戸惑ったことがありませんか?
この記事では、猫という生き物がどんな歴史をたどって「あなたの隣」にいるのかを、49歳・シニア猫飼いの私が正直にお伝えします。知れば知るほど、今日帰宅したときの「ただいま」が、少し変わるかもしれません。
「ネコ目」って何?—犬も猫もキツネも、実は同じ仲間だった

突然ですが、あなたは「ネコ目(食肉目)」という言葉を聞いたことがありますか?(”ねこもく”と読みます、”ねこめ”じゃないんですね、私も最初はなんて読むか分かりませんでした笑)
私が最初に聞いたのは、みいちゃんの動物病院の待合室でもらったパンフレットでした。「ネコ目ネコ科イエネコ属」と書いてあって、「目(もく)ってなに?」とその場でスマホ検索したのを覚えています(笑)。
生物の分類は、大きい順にこうなっています:
界 → 門 → 綱 → 目 → 科 → 属 → 種
「ネコ目(食肉目)」は、その中の「目」にあたるグループ。肉食に適した歯や体のつくりを持つ哺乳類がまとめて入っています。
ネコ目に含まれる動物たち
- 🐱 猫(ネコ科)
- 🐶 犬(イヌ科)
- 🦊 キツネ(イヌ科)
- 🐻 クマ(クマ科)
- 🦭 アザラシ(アザラシ科)
- 🐯 ライオン・トラ(ネコ科)
そう、犬もキツネも、クマも、みんなネコ目の仲間なんです。
「ネコ目なのになんで犬が?」と思いますよね。それは、分類の初期に猫が代表的な存在として名前がつけられたから。今では「ネコ型亜目(猫・ライオンなど)」と「イヌ型亜目(犬・クマ・アザラシなど)」の2グループに大きく分かれています。
ちなみに犬の正式な分類はこうなります:
ネコ目 → イヌ科 → イヌ属 → イエイヌ種(柴犬も、トイプードルも、みんなここ)
私がこれを知ったとき、「あなた(みいちゃん)とわんちゃんは、遠い遠い親戚なのか」と笑ってしまいました。でもみいちゃんはやっぱり犬を見ると「フシャー」ってなるんですよね(笑)。
6500万年前—恐竜が消えた日に、猫の祖先が生まれた
ネコ目の動物たちは、約6,500万年前にさかのぼります。ちょうど恐竜が絶滅したころ、小さな哺乳類が生き延び、そこから枝分かれして今の猫や犬が生まれていきました。
進化の分岐をざっくり整理すると
- ネコ型亜目:猫、ライオン、トラ、ヒョウ、チーター
- イヌ型亜目:犬、キツネ、タヌキ、クマ、アザラシ
重要なのは、「猫から犬が生まれた」わけではないということ。共通の祖先から、それぞれが別々に進化したのです。
猫は特に、その祖先に近い形質を今も色濃く残していると言われています。単独行動、縄張り意識、夜行性—これらはすべて、野生で生き延びるために磨かれてきた能力です。
あなたのシニア猫が夜中に突然走り回る「夜の運動会」も、実は6500万年の歴史の産物。怒るよりも、ちょっと笑えてきませんか(笑)?
猫は「飼いならされた」のではない—自分から人を選んだ動物
ここが、猫と犬の最大の違いです。
犬は人が長い時間をかけて「家畜化」しました。一方、猫は違います。
約1万年前、人類が農耕を始めると、穀物を保存する暮らしが始まりました。
するとネズミが増えます。
そこへ現れたのが、野生のリビアヤマネコ。
猫は人間に「来い」と言われたのではなく、エサ(ネズミ)を求めて自分から人の集落に近づいてきたのです。
人が猫を家に入れたのか、猫が人の家を選んだのか—。
研究者たちの多くは「猫が人を選んだ」に近いと考えています。
この視点が私にとってすごく大事で、「みいちゃんは今も、私と暮らすことを選んでいる」という感覚を持てるようになってから、猫との関係が変わりました。
命令や支配ではなく、お互いに選び合っている関係。それが猫との共生の本質なんだと思います。
9,500年前のキプロス—人と猫が一緒に埋葬された
猫と人の歴史を語るうえで外せない発見があります。
地中海のキプロス島で、約9,500年前の墓が発見されました。そこには人と猫が、寄り添うように一緒に埋葬されていたのです。
重要なのは、当時のキプロスには野生の猫が存在していなかった、という点。つまり、人が猫を連れて海を渡ったということになります。
ネコミミを移動の道具として扱うのではなく、大切な存在として一緒に旅をした。そして亡くなっても、隣に埋めた。
9,500年前の人と今の私たちは、猫への向き合い方がそんなに変わっていないのかもしれない、と思うと、胸が熱くなります。
古代エジプトで神になった猫—バステト女神と猫のミイラ
先日、福岡で開催されていた古代エジプト展に行ってきました。
ガラスケースの向こう、丁寧に包まれた猫のミイラを見たとき。思わず「みいちゃん…」と頭に浮かんで、喉がきゅっとなりました。
古代エジプトでは、猫は女神バステトの象徴として神聖な存在とされていました。猫を傷つけることは重罪。亡くなれば、ミイラにして埋葬される。
「役に立つから守る」ではなく、「存在そのものが尊い」という感覚が、3,000年以上前にすでにあったのです。
仕事から帰ってきて、玄関で出迎えてくれるみいちゃんの顔を見るとき。私も少しだけ、あの時代のエジプト人の気持ちがわかる気がします。
猫が世界に広がった理由—船と交易と「ネズミ捕り」
古代エジプトから、猫は船に乗って世界へ広がっていきます。
中世ヨーロッパの航海では、積み荷の穀物をネズミから守るために、猫は欠かせない存在でした。今でいう「必須のビジネスパートナー」です。
どこへ連れていかれても、猫は自分らしさを失いませんでした。狭い船の中でも、縄張りをつくり、獲物を追い、気に入らないことには徹底的に抵抗する(笑)。
そのブレなさが、猫が世界中で愛される理由のひとつかもしれませんね。
日本最初の猫の上陸地は「長崎」だった—弥生時代の壱岐の話
日本に猫がやってきた時期について、長年「奈良〜平安時代(8〜9世紀頃)」という説が主流でした。
ところが近年の研究で、約2,000年前の弥生時代後期にはすでに日本にいたことがわかってきました。
そしてその最古の証拠(イエネコの骨)が見つかったのが、長崎県壱岐市のカラカミ遺跡。
私はここに住んでいます。長崎県に。
この事実を初めて知ったとき、「2,000年前の長崎の海風の中で、猫は船を降りたんだな」と思って、なんともいえない感慨がありました。みいちゃんの遠い先祖も、もしかしたらここから日本に入ってきたのかもしれない、と。
平安貴族も「親バカ」だった
その後、平安時代には猫は貴族に熱狂的に愛されます。宇多天皇は日記に黒猫への愛を滔々と綴り、一条天皇は愛猫に「命婦の御許(みょうぶのおもと)」という位階を授けました。
1,000年前も今も、猫に対する「やばい愛情」は変わっていない。それがわかると、なんだか仲間が増えた気分になります(笑)。
ちなみに、この長崎で猫たちが今も直面している現実があります。殺処分の問題と、地域の取り組みについては、こちらで正直に書いています。
▶ 長崎の猫たちが今も直面していること—殺処分ゼロの先にあるもの
シニア猫の「困った行動」は、6500万年の本能のせいだった
最初に書いた、みいちゃんが夜中に私をひっかいた話。
あれは「なんで私に甘えないの」という問題ではなく、猫が狩りの本能を持て余していたことが原因でした。夜行性で、単独で獲物を追う本能を持つ猫にとって、夜中は「狩りの時間」なんです。
私が間違いを犯したのは、「猫も人間と同じように暮らせるはず」と思い込んでいたこと。
猫は、完全には「飼いならされていない」動物です。
高い場所を好む、縄張り意識が強い、夜に活発になる。これは性格の問題ではなく、6500万年かけて磨かれた野生の本能。
共働き夫婦が「今日から始められる」本能の満たし方
私たちのような共働き家庭で、一番難しいのは「猫との時間が取れない」こと。
でも、本能を満たすのに必要なのは、長い時間より「質」です。帰宅後の10分、猫が存分に動ける環境があるだけで、夜中の運動会は格段に減りました。
- 上下運動ができる場所(キャットタワー、棚)を作る
- 思いきり爪を研げる場所を用意する
- 狩猟本能を刺激する短時間の遊びを取り入れる
特に爪とぎは、シニア猫になってからも本能として残ります。私はみいちゃんが10歳を超えてから、爪とぎの素材と高さを見直しました。
▶ 「まだ爪とぎしてるの?」—シニア猫の爪とぎ、実はこんなに大事でした
レーザーポインターを使った短時間遊びも、共働き家庭には本当に重宝しました。
▶ 帰宅後10分で運動量を確保—シニア猫でも使えるレーザーおもちゃ選び
ネコ目の大きな家族ツリー—猫がいちばん「原始」に近い
まとめとして、ネコ目の全体像を整理します。
原始的なネコ目の哺乳類(6,500万年前) ├── ネコ型亜目 → 猫・ライオン・トラ・チーター └── イヌ型亜目 → 犬・キツネ・タヌキ・クマ・アザラシ
猫は、この進化の過程で祖先に最も近い特徴を保ち続けていると言われています。だからこそ「独立心が強い」「思い通りにならない」。
でもそれは、猫が進化の歴史を体ごと生きているから。
あなたのそばにいるシニア猫は、6,500万年の歴史の終点に立っている存在です。
まとめ:猫と「なぜ?」を共有できると、暮らしはもっと豊かになる

6,500万年前の祖先から始まり、
1万年前に人の集落を自分で選び、
9,500年前には人と一緒に海を渡り、
古代エジプトで神になり、
2,000年前に長崎へ上陸した。
そして今、あなたの家のソファで丸まっている。
これだけの歴史を持つ生き物が、完全に「手なずけられる」わけがない(笑)。でも私は今、それで良かったと思っています。
みいちゃんが私を選んでいる。少なくとも今日も、家にいてくれている。その事実だけで、仕事で疲れた夜も、なんとか立て直せます。
猫の「なぜ?」がわかるようになると、怒りが減って、愛おしさが増します。それが猫の歴史を知ることの、いちばんの実用性だと私は思っています。
猫と人が無理なく共に暮らすためのヒントをまとめた記事はこちらです。
▶ 「ちゃんとできてる?」を確認したくなったら—猫との暮らしの見直し方
この記事が「うちの猫のこと、少しわかった気がした」と思えるきっかけになれば、とてもうれしいです。コメントや感想があれば、お気軽にどうぞ。同じ立場の仲間として、一緒に考えましょう🐾

