今、ペットはただの愛玩動物だけではなく家族としての役割が大きくなっています。心を癒すだけでなく精神的な安定をもたらしてくれ、日々人間の心と体を癒す大切な家族となっています。
しかし、それとはうらはらに保健所に持ち込まれる数も決して少なくはありません。毎日、平均ですが6.6匹も殺処分されています。10年前に比べると10分の1に減ったと言われていますが、それでも決して少ない数とは言えません。
殺処分というのは、保健所や動物管理センターなどに引き取られた犬や猫を、健康な状態でも命を終わらせてしまうことを指します。これは、引き取られた動物を世話する場所が足りなかったり、新しい飼い主が見つからなかったりすることが原因です。
なぜ殺処分が起きるの?
- 飼い主の責任不足
- ペットを途中で捨てたり、適切に世話をしなかった結果、動物が行き場を失ってしまうことがあります。
- 繁殖の管理不足
- ペットに避妊や去勢手術をしないと、どんどん増えてしまい、全ての動物に新しい家族を見つけるのが難しくなります。
- 引き取り手の不足
- 保健所にいる動物を引き取ってくれる人が少ないため、世話ができる数を超えてしまいます。
- 地域の支援体制が弱い
- 長崎県では、他の地域に比べてワンちゃんやネコちゃん等を助けるための活動や施設が少ない傾向性にあります。
環境省によると、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)に保健所などで引き取られた犬は22,392頭。殺処分数されたのは2,434頭でした。
引き取られた犬の10%以上が殺処分されていることになります。
殺処分数は、10年前の38,477頭と比べると10分の1以下になっており大幅な減少傾向にあります。また、引き取り数および殺処分率も減少しています。
しかし、いまだ1日に平均6頭以上の犬が殺処分されているのが実情です。人間の都合で命を奪われている犬がいるのです。
都道府県別にみると、多い順に
- 徳島県 248頭(殺処分率 32.5%)
- 香川県 238頭(殺処分率 23.7%)
- 長崎県 215頭(殺処分率 39.7%)
- 愛媛県 172頭(殺処分率 48.0%)
- 愛知県 154頭(殺処分率 17.6%)
少ない都道府県は
- 静岡県 0頭(殺処分率 0.0%)
- 福井県 1頭(殺処分率 1.3%)
- 山形県 1頭(殺処分率 1.6%)
- 富山県 2頭(殺処分率 3.8%)
- 神奈川県 3頭(殺処分率 1.2%)
なぜ長崎県が多いの?
具体的な原因は色々ありますが、考えられる理由は以下のようなものです:
- ペットの適切な飼育方法や避妊手術の重要性が、十分に広まっていない。
- 地域での動物愛護活動の認識が他県よりも低い傾向にある。
- 保健所の設備や救済対応できる団体が限られている。
どうすれば殺処分を減らせるの?
- ペットを捨てない
一度飼ったペットは最後まで責任を持つことが大切です。 - 避妊・去勢手術をする
動物が増えすぎないように、手術を受けさせるのが効果的です。 - 保護された動物を引き取る
新しくペットを飼うときには、ペットショップではなく保健所や保護団体から引き取ることを考えましょう。 - 動物愛護団体を支援する
時間やお金を使って、保護活動をしている団体をサポートすることも大切です。
ペットを飼うことには多くの喜びがありますが、その一方でデメリットもあります。ペットを迎える前に、以下のポイントをしっかり考えることが大切です。
1. お金がかかる
- ペットフード、トイレ用品、ケージなどの日常的な費用。
- 定期的な健康診断や予防接種、病気やケガの治療費。
- 美容(トリミング)やおもちゃ、アクセサリーなどの費用。
- 長期間の飼育を考えると、かなりの金額が必要です。
2. 時間が必要
- 毎日の食事や掃除、散歩などのお世話をする時間。
- 遊んであげる時間や、しつけをするための時間。
- 旅行や出張をする際の準備や、ペットホテルや預け先の手配。
3. 自由が減る
- 長時間の外出や旅行が制限される。
- 外出中も「ペットがちゃんと過ごしているか」と気にする必要がある。
- 家を空けられない場合、ペットの世話を他の人にお願いする手間。
4. 家が汚れる
- 抜け毛、爪とぎ、噛み癖などで家具や床が傷むことがある。
- トイレの失敗や臭い、掃除の負担が増える。
- 特に多頭飼いの場合は、掃除の頻度がさらに高まる。
5. 健康やアレルギーのリスク
- ペットが病気を持ち込む可能性(ノミ・ダニなど)。
- アレルギー体質の場合、動物の毛や唾液に反応することがある。
- 引っかかれたり噛まれたりするリスクもゼロではない。
6. 別れの悲しみ
- ペットの寿命は人間より短いことがほとんど。
- 最後の瞬間を看取るのは心が痛む経験になる。
7. 責任が大きい
- 病気やケガをしたとき、治療や介護をしなければならない。
- 引っ越しやライフスタイルの変化にも対応しなければならない。
- ペットのために家族全員の協力が必要になることもある。
ある取材の話ですが、職員さんが「現在保健所にいる仔たちは、全員「ペットが大好き」、「動物が大好き」と言って買われていった子たちばかりなんですよ」と言っていたことがとても印象に残りました。 もともと、動物が嫌いな人たちは最所から関わろうとはしないので、ペットの問題はペット好きな私達が引き起こしている問題なのかもしれませんね。
ペットを飼うことは、家族の一員として一生の責任を背負うという覚悟が必要です。デメリットを理解した上で、その責任を果たせるかどうかをよく考え、慎重に判断することが大切です。
長崎県で殺処分が多いことを知るのは辛いですが、それを改善するために私たち一人ひとりができることを考えるのが、第一歩だと思います。